高千穂駅(旧・高千穂鉄道、高千穂あまてらす鉄道)

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スーパーカートで、高さ日本一の鉄橋を渡る

高千穂駅のみどころ

高千穂(たかちほ)駅は、宮崎県高千穂町にあります。所在地は「宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1425−1」です。
台風による壊滅的被害を受け再建のめどが立たず廃線になった高千穂鉄道の、終着駅でした。しかし、駅舎は残っています。なぜかというと、現在は「スーパーカート」という、軽自動車を改造したトロッコミニ列車が走っているからです。高千穂あまてらす鉄道株式会社が運営しています。今は公共交通的な鉄道ではないため、GoogleMapで探しても見つかりません。カーナビでも、住所を入れないとたぶん無理でしょう。
この特殊路線は、高千穂駅から次の天岩戸(あまのいわと)駅までの区間です。その目の前に、鉄道橋として日本一の高さである「高千穂橋梁(きょうりょう)」がそびえており、天候がおだやかであれば、ゲートを開けてこの橋の末端まで渡って、引き返してくれます。その見晴らしは、下を見れば恐いようなものの、まるで渓谷を手中に収めたような素晴らしい眺めです。

旧・高千穂鉄道のみどころ

高千穂駅でさらにすごいのは、年に数回(3連休など)だけですが、本物の旧車両を使って「運転体験」をさせてくれることです。1日10回、1人1万円で高千穂駅構内限定、要自動車普通運転免許ですが、このようなことをさせてくれる場所はめったにないでしょう。運転してみたいと思ったら、あまてらす鉄道のホームページをチェックして、予約するチャンスを待っていましょう。
なお、運転までできなくても、高千穂駅構内に車両がそのまま保存されています。乗ることも、運転台にちょこんと乗ることもできます。駅舎には往年の鉄道写真が展示されており、記念グッズなどを売っています。
旧路線にあった日之影(ひのかげ)温泉駅は、現役のときから駅直結の温泉として有名でした。温泉は今も健在です。バスや車で来れるので、ぜひ立ち寄りたいスポットです。施設は露天風呂など各種温泉はもちろん、物産店、レストラン、鉄道展示資料が充実しています。さらにここには、旧高千穂鉄道車両を改造した「TR列車の宿」があります。日之影温泉から東寄りにあった吾味(ごみ)駅~槇峰(まきみね)駅区間の鉄道跡は遊歩道として整備され、森林浴を兼ねて行けるレクリエーションスポットとなっています。

行き方

かつて高千穂鉄道で結ばれていた東の延岡(のべおか)駅から、九州本土を横断するように西の熊本まで、宮崎交通および産交バスの高速乗合バスが1日2往復しています。延岡駅前バスセンター~熊本駅前までは所要約4時間です。途中にある高千穂バスセンター(西臼杵郡高千穂町三田井804)で下車すれば、高千穂駅舎まで歩いて行ける距離です。
また宮崎交通バスは、延岡バスセンターを起点に、日之影温泉まで2~3時間に1本走っています。延岡~日之影は約1時間です。
車で行くなら、高千穂駅、日之影温泉駅とも無料駐車場があります。
なお、JR日南線には、高千穂鉄道の旧車両を超デラックスに改良したJR九州「特急 海幸山幸(うみさち やまさち)」が走っています。宮崎交通による宮崎~高千穂のバス路線もあるので、旅程に余裕があれば両方乗れます。一度乗ってみたいですね。

多良木駅(くま川鉄道湯前線)

2011-11-19 05.20.17ブルートレインたらぎで一泊

多良木駅のみどころ

多良木(たらぎ)駅は、熊本県球磨(くま)郡多良木町にあります。くま川鉄道 湯前(ゆのまえ)線の途中にある駅です。

この駅前名所は、ブルートレイン「はやぶさ」を静態保存し、ホテルにした「ブルートレインたらぎ」です。列車の上にさらに屋根があり、夜間は、本当に走ってきた列車が留まっているような幻想的な空気に包まれます。売店と食堂に改造された列車は広々で、ゆったりくつろげます。客車のベッドは2階立てのB寝台ソロ。毛布もあり、なかなか快適です。素泊まりで大人3000円ちょっと、とリーズナブル。お風呂は、目の前に「多良木町えびす温泉センター」があり、広々とした温泉に300円で入れます。

このブルートレイン目当てで、わざわざ熊本の宿泊先からレンタカーで来て、朝まで泊ったことがありました。予約すれば朝食600円のお弁当も食べられたのですが、早朝、熊本に舞い戻りました。ついでに、JR肥薩線の大畑(おこば)駅にも立ち寄った次第。

多良木駅の先、終点の湯前駅より東へさらに国道で行くと、廃線になった高千穂(たかちほ)線があります。険しい山々を越えていかないと行けないため、現役時代にとうとう乗りそびれてしまった、興味深い路線です。車があるなら、観光地でもある高千穂を探索するために多良木を拠点にするのも便利そうです。高千穂線にも、日之影温泉駅の列車ホテル「TR列車の宿」があるので、泊り比べるのも面白いでしょう。

くま川鉄道湯前線のみどころ

くま川鉄道への乗り換えで通る、JR人吉温泉駅には駅弁屋があります。肥薩線のホームではありますが、「いさぶろう・しんぺい号」が到着したときなどは、名産「栗めし」「鮎ずし」弁当を抱えて、今は珍しい立ち売りに出会えるかもしれません。

くま川鉄道には、縁起の良い「おかどめ幸福駅」があり、近くの売店で幸福グッズを売っています。併走する国道219号からもチラっと駅舎が見えます。

行き方

くま川鉄道は、JR肥薩(ひさつ)線の人吉(ひとよし)温泉が起点です。ここから多良木駅までは30分ちょっとです。
おおむね1時間に1本くらい列車があります。昼間は観光列車「田園シンフォニー」(全車指定席、要予約)が1往復走っています。これを目当てに来るのもいいですね。

伊豆急下田駅(伊豆急行)

海へ山へ、リゾート列車が行く

伊豆急下田駅のみどころ

伊豆急下田(いずきゅうしもだ)駅は、静岡県下田市にあります。伊豆急は、伊豆急行の略称です。下田は、ペリー率いる黒船来航の港町です。地魚、海産物が美味しく、それだけを目的にして来ても良いかもしれません。
駅からすぐの所に「下田ロープウェイ」山麓駅があり、眼下に街を見おろせる寝姿山(ねすがたやま)山頂まで、一気に上れます。着いてまず何をしよう?と思ったらここに行ってみましょう。
夏休み、どこに行こうか迷っていて、多少のお金に余裕があるなら、ここを拠点に半島をぐるっと巡ってみるだけで、「あ~1泊したい!できればもっと!」と思うこと請け合いです。

レンタカーもバスも豊富にあるし、海に行くなら石廊崎(いろうざき)方面まで足を伸ばしてみても良いかもしれません。(昔はそちらまで延伸する計画があったとか)。夏はとにかく暑いけれど、のんびりするのではなく、何かアクティブに動きたい!というエネルギーに満ち溢れています。

伊豆急行のみどころ

私がこの沿線が印象的なのは、伊豆急が昔主催した「名探偵コナンクイズラリー」という地域イベントがあって、それに参加したからです。大急ぎで沿線のいろいろな名所を巡って、それでも日帰りで2回往復しました。クイズがかなり練られていて解けないと悔しくて、時刻表とにらめっこしながら頭フル回転した、思い出深い場所です。

沿線がどこも風光明媚なところで、伊豆高原駅周辺の美術館・博物館めぐりや、泊れればペンションなど宿泊しつつのんびり行きたいところです。クイズラリーがなければ各駅に降りるなんてこともしなかったかもしれませんが、伊豆急では沿線の海岸線を眺め、列車に乗っているだけでそれが観光になるぐらい、景色に優れた場所です。

この沿線は、東京方面から車だけで来ようとすると渋滞に悩まされます。行きも帰りも、列車の快適さには敵いません。列車名もリゾートというぐらいで、本当に快適です。
朝早く起きて、途中まで18切符を使って安く済ませて来ようというのも面白いですが、せっかくならバカンスに来たつもりで、羽根をのばしたいですね。

行き方

東京方面からは、JR伊東線の伊東駅を経由して、終点の伊豆急下田駅まで直通運転で、特急「踊り子」号、「スーパービュー踊り子」号が出ています。早く目的地に座って行こうとするなら一番手軽です。
新幹線の最寄駅、JR東海道本線の熱海(あたみ)からは、普通列車にもかかわらず、特急を凌ぐ豪華展望列車「リゾート21」が発着しています。沿線景色を楽しみたいなら、熱海で一度乗り換えて、「リゾート21」に乗ることをお奨めしたいです。

 

トロッコ保津峡駅(嵯峨野観光鉄道)

「電車でGO!」の誕生地へ

トロッコ保津峡駅のみどころ

トロッコ保津峡(ほづきょう)駅は、京都府京都市西京区にあります。その昔、山陰本線の保津峡駅だった場所ですが、この旧路線を再活用して、嵯峨野(さがの)観光鉄道が生まれました。

保津峡といえば、往年の名作鉄道ゲーム「電車でGO!」の初級編で、誰もが経験している駅名の響き。渓谷沿いにキーィキーィとブレーキの音を響かせ、トンネルをくぐり、そのたびにフワンと警笛を鳴らさないと減点…なんて、何度もやったことがありますから思い出深いものです。
ゲームにどっぷり浸かってその後、今の山陰本線に乗ってみると、トンネルもまっすぐでスイースイ、あれ?あのときの路線みたくグリグリ走らないぞ…と違和感を覚えるはず。そう、京都から園部までの嵯峨野線、その先の福知山方面は、通勤路線という性格に変わっています。スピードアップのため、この難所はとうの昔に付け替えられていたのです。

旧線はもうないのか…と思いきや、旧線は観光鉄道に生まれ変わっているではありませんか。しかも贅沢に、トロッコ列車です。ゲームの世界のモデルはここだったんだ…と、乗車して感慨ひとしおです。

嵯峨野観光鉄道のみどころ

トロッコ嵯峨(さが)、トロッコ嵐山(あらしやま)、トロッコ保津峡、トロッコ亀岡(かめおか)、というように駅数の少ないこの路線ですが、観光専門列車ということもあって実にゆったり走ってくれます。渓谷を見下ろしながら、写真を撮ってもらって記念に買った額は、今も大切に家の玄関に飾っています。京都を訪れて昼間に時間が許す限り、この路線は一度は乗っておきたいですね。どの季節でも味がありますが、紅葉の時期ならもう最高でしょう。

終点のトロッコ亀岡駅から、JR山陰本線の馬堀(うまほり)駅まではそれほど距離はないので、線路に沿って道を歩けばすぐ着きます。
トロッコ亀岡駅のお土産屋さんは趣味的で、(私が行った当時はエヴァンゲリオン全盛で、プラグスーツ型ペットボトルなどというのも売ってました)、今もきっと面白いものを取り揃えていると思うので、再訪したいスポットの一つです。

行き方

京都駅から、JR山陰本線で福知山方面へ、15分前後で嵯峨嵐山(さがあらしやま)駅に着きます。駅ロータリーに出て目の前に、トロッコ嵯峨駅の立派な駅舎があります。全席指定ですが、1時間おきに走るので、事前予約しなくても買えることも多いようです。
トロッコ嵯峨駅舎内にあるお土産屋さんは、京都らしい上品なものを多く取り揃え、品数豊富です。日が暮れるころ夕方には営業終了なので、ご利用はどうぞお早目に。

八戸駅(JR八戸線)

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海岸線を走るリゾート特等席

八戸駅のみどころ

八戸(はちのへ)駅は、青森県八戸市にあります。東北新幹線の駅であり、青い森鉄道の駅でもあり、いわゆるターミナル駅です。土産物コーナーが気軽に入れて巡回しやすくできていました。都心のターミナルと違ってこじんまりしている分、使いやすい駅です。
駅直結でJR直営ホテルのホテルメッツ八戸があり、空室があれば昼でも時間貸しをしてくれます。これがとても便利で、バスで来たのにホテルに泊まった気分にさせてくれました。部屋から1分ちょいで駅の駅弁コーナーに行って、弁当を買ってきて部屋で食べるというのも、なんだかとても贅沢な気分でした。
でもその時は、豪雪のため列車がみんな止まっていて、いつ運転再開するかわからないような状態だったのです。岩手県に入って八戸に着くまでの間も、バスの運転手さんが途中で降りて雪かきをしたり、高速道路さえも道路じゃなくなっているような状況でした。もしかしたら八戸でトンボ返りかも…なんて、心の中で泣き笑っていました。

ところで、八戸駅から鮫(さめ)駅までの区間には、「うみねこレール八戸市内線」という愛称が付けられています。市内はどちらかというと住宅街っぽいのですが、鮫駅の近くの港にはウミネコの繁殖地があって、名所になっているようです。

八戸線のみどころ

八戸線には、1日1往復ですが「リゾートうみねこ」号が走っています。これの凄いのが、太平洋側(八戸から久慈へ向かうとき、進行方向左手)の1人掛け1列は、広い窓から見晴らす海岸線を満喫できるように、斜め45度ぐらい座席が回転できるようになっている特等席です。快速ですから、18切符でも乗れます。

私が行ったときは豪雪で、午前中いっぱい運転を見合わせていました。結果的に運良く、リゾートうみねこに乗れたのですが…、乗車してから1駅ごとに長時間停まり、1~2時間は遅れました。そのため、三陸鉄道北リアス線の様子を(震災復興後、全線開通の直前でした)、見に行こうと思っていたにもかかわらず久慈駅に着いたのが夕方で、宮古(みやこ)駅まで行くのは断念しました。むしろ帰りの岩手発のバスに間に合うのかな?というのが心配でした。冬場は時間通りでなくても、とにかく走ってくれるだけでありがたい、という鉄道のありがたみを感じました。

行き方

八戸・盛岡~東京方面には、岩手県北バスという、高速バスが走っていて、八戸駅の寄るのもあります。バスは格安で便利ですが、予算に余裕があれば新幹線も使ってみたいですね。

 

小淵沢駅(JR小海線)

2011-08-21 12.23.44日本一の標高、高原と名水のふるさとへ

小淵沢駅のみどころ

小淵沢(こぶちざわ)駅は、山梨県北杜(ほくと)市小淵沢町にあります。ホームに駅そば屋さんがあり、いつも賑わっています。ここは小海(こうみ)線の起点。いつも着くたび、小海線に乗りたいと思ってしまいますが、目的はたいてい別にあったりします。
実はここは、サントリーウイスキー白州(はくしゅう)の蒸留所および「南アルプスの天然水」ボトリング工場が近くにあって、そこに見学に行けるのです。夏場は特に、工場から無料シャトルバスが出ていて、工場見学(ウイスキーと水と両方行けるコース、片方だけもあり)で、試飲までさせてもらえます(お子様やハンドルキーパーの方にはジュースが出ます)。ネットなどで予約をしておけば、もうこれ自体が旅行の目的になってしまうのです。中に高原レストランや博物館があり、さらに工場見学の後に案内されるバーでは、高価なウイスキーや限定品が何十種類もあって格安で試せます。ここだけでも行く価値ありです。

さらに時間にゆとりを持って来れるなら、少し離れた隣地(ちょっと歩きます)にはシャトレーゼ白州工場(アイスクリーム工場)があって、こちらも予約が必要ですが無料で試食させてくれます。
北杜市は、八ヶ岳南麓高原湧水群という名水の里なので、そこから生まれるウイスキーやアイスクリームの味は格別です。

小海線のみどころ

JR中央本線から小海線に乗り換えると、だんだん標高が高くなっていき、清里(きよさと)駅の次、野辺山(のべやま)駅で標高日本一(1,345.67m)となります。
夏は本当に爽やかで、気温もがまんできるぐらい。避暑にはもってこいです。
清里駅からはお店や食事処がいっぱいあって賑わっています。
野辺山駅は本当に山中という感じで周辺に何もありません。単線のため上下線が待ち合わせするので、記念にただ降り立つだけでもいいかもしれません。野辺山宇宙電波観測所の巨大パラボラアンテナを見に行くには徒歩40分。さすがに歩くのはしんどいかもしれませんが、荷物を軽くしていけば、清里駅から野辺山駅までの間にあるJR最高地点(1,375m)碑を見に行くのも楽しいでしょう。時間があればせめて清里駅から、ゆっくり散策したいところですね。

環境に配慮したハイブリッドディーゼル車も、振動が少なくなかなか快適です。終点の小諸まで行けば、しなの鉄道に乗り継いで軽井沢方面に足を伸ばせます。

行き方

小淵沢駅はJR中央本線の駅なので、東京方面からは新宿から一本で行けます。甲府や韮崎(にらさき)より西にあり、18切符で普通電車では着くまで半日がかり。小旅行には丁度良い距離感です。小海線に行くときは、朝早めの出発がおすすめです。
「特急かいじ」なら、新宿から約2時間で、あっという間に着いてしまいます。

奥大井湖上駅(大井川鐵道井川線)

湖の上を渡る不思議な駅

奥大井湖上駅のみどころ

奥大井湖上(おくおおいこじょう)駅は、静岡県榛原郡川根本町にあり、大井川鐵道の先端部である井川(いかわ)線の途中駅です。地図を見ると納得するのですが、竜(ドラゴン)のように曲がりくねった大井川の半島部分に橋げたが掛った形になっています。これがよく紹介される写真では、孤島のように見えてしまうので、いつも不思議に思っていたのです。

駅ホームには「幸せを呼ぶ鐘」、半島部分を少し上ると休憩施設「レイクコテージ奥大井」があります。井川線は単線折り返しで本数がそれほど多くないので、この駅に下りて散策するには、かなり時間にゆとりがないとできません。しかし一度は、このホームから延びている線路脇の歩道を歩いて、エメラルドグリーンの湖を見渡してみたいものです。

大井川鐵道井川線のみどころ

大井川鐵道は、土休日にはSLが走る路線として有名です。それに乗れるだけでもわくわくしてきます。ただそれは本線で、金谷(かなや)駅から千頭(せんず)駅まで。千頭駅は観光みやげ店などが充実して賑わっています。SL資料館という小さな展示室もあります。

千頭駅から先の井川線は、アプト式登山鉄道の幅狭い車両に乗り継いでいきます。アプト式鉄道とは、線路内に歯車を噛み合わせられるレールを敷いて、急こう配を機関車で上り下りできるようにしたもの。スイスの登山鉄道(ラック式鉄道)にもありますが、日本ではここ唯一の珍しいものです。ケーブルカーならばロープで支えるので物凄い急こう配のものもありますが、鉄道機関車で急こう配を上り下りするのは、線路の摩擦だけでは大変なことです。上りの牽引はもちろん、下りるときにブレーキがかからないと危険なので、坂下の方を機関車で支えるのです。アプトいちしろ駅では、機関車の付替え作業をじっくり見ることができます。

行き方

大井川鐵道は金谷駅が起点で、JR東海道本線に接続しています。なおSLの発着はその次の新金谷駅で、こちらの方が比較的大きい駅です。新金谷駅は駐車場が整備されていてマイカーでも来ることができます。ホームが1つで上下線がほぼ同じ時刻に来るので、方向を間違えて乗ると大変。初めて来たとき、慌てていたので恥ずかしい話ですが本当に間違えました。線路に沿って国道が伸びているので車で追いかけましたが、あの時は大変焦りました。皆さんは大丈夫ですね。
あと路線図では、井川線は千頭駅から井川駅までなのですが、H26.9.2に発生した崩土により、寸又峡(すまたきょう)温泉駅から井川駅までの区間はしばらく運休です。井川ダム(井川駅近辺)まで行きたい方は国道で行けるので、寸又峡温泉を拠点にするのもいいかもしれません。

 

間藤駅(わたらせ渓谷鐵道)

2012-01-07 19.41.33『時刻表2万キロ』の終着駅

間藤駅のみどころ

間藤(まとう)駅は栃木県日光市足尾町にあり、バスなどでちょっと足を伸ばせば日光駅に出られる立地です。この駅は、鉄道紀行を広めた名著、宮脇俊三著『時刻表2万キロ』の中で国鉄(現JR)完乗の旅路の終着駅として描かれました。JRに民営化され、当時は国鉄だった地方鉄道もかなり廃止された今では路線数は減ってしまいましたが、当時は圧倒的な路線数がありました。それを完乗したというのは余程、鉄道に愛着があったのでしょう。「鉄」の魅力を全国に伝えた偉人です。
間藤駅の先には、廃止された鉱山線が伸びており、「まだ旅は終わりではない…」と思わせる郷愁が漂います。待合室には、著書や著者について取り上げられた新聞の切り抜きがびっしりと貼られています。この名著で鉄道旅行が好きになった方も多いことでしょう。
駅は無人駅で、ホーム端にこじんまりとした展望台があり、そこから列車全景を撮影できます。

駅前はすぐ道路で、路線バスが走っています。ここからバスで日光へ出るもよし、逆に日光方面からわたらせ鐵道へ足を伸ばし、ゆっくり過ごすのも良いでしょう。ただし冬は、間藤駅はとても寒いです。日光付近では冬季閉鎖道路があるぐらいです。列車折り返しで来ても、引き返す間に凍えそうなので、冬場は防寒着を忘れずに。

 わたらせ渓谷鐵道のみどころ

わたらせ渓谷鐵道は、足尾銅山の拠点でありまた、美しい渓谷に沿って走る鉄道です。有料駐車場もある大間々(おおまま)駅を拠点に、春から秋にかけて土日祝日はトロッコ列車が走っています(大間々~足尾)。トロッコ列車整理券は予約分と当日分があるので、買えなかった人は駅で並びましょう。普通車両もあるので乗れないことはありません。
大間々駅では列車向けに特製のお弁当が買えますが、団体さんなどが来るとすぐ無くなりますので、できれば予約が必要でしょう。乗車中、目を耳と舌を同時に楽しませてくれます。

わたらせ渓谷鐵道は、停まる駅すべてに魅力があるといって良いぐらい魅力が盛り沢山です。冬季は沿線駅ホームにイルミネーションが飾られ、普通列車でも楽しませてくれます。
水沼駅には直結の温泉センターがあり、列車の発車時間に合わせて入浴、のんびりしていられます。
神戸(ごうど)駅直結で、東武特急デラックス車両の列車レストラン「清流」があります。大間々で買いそびれたお弁当もここで召し上がれます。作り置きがないそうなので、予約していらしてください。神戸駅から路線バス10分乗る時間があれば、富弘美術館まで足を伸ばせます。身体不自由ながら口にくわえた絵筆で描かれた美しい作品やメッセージの数々に、必ずや心打たれるに違いありません。
通洞(つうどう)駅は足尾銅山観光の入り口。歩いてほどなく、構内トロッコに乗って見学コースに入れます。坑道見学や博物館などが意外に面白いので、時間にゆとりを持って来るといいですよ。

行き方

最寄りのJR桐生(きりゅう)駅から、大間々駅までは郊外の住宅街。大間々からがこの路線醍醐味の本領発揮です。間藤駅まで行って折り返すなら、二度路線を味わえます。1日フリー切符を使うと、水沼駅温泉センター、富弘美術館の割引もあってダブルでお得です。
日光方面から来る場合は、路線バスがあります。日光に行く時間が許すようでしたら、ぜひ泊るつもりで、わたらせ渓谷鐵道に所々途中下車して、まる1日かけていくことをお奨めします。

土合駅(JR上越線)

一度は登ってみたい階段

土合駅のみどころ

土合(どあい)駅は、JR東日本・上越線の駅。群馬県利根郡みなかみ町という、山間部にあります。ここは谷川岳ロープウェイの拠点で、春・夏・秋のロープウェイ頂上の景色は筆舌に尽くしがたいほど素晴らしく、日本に住んでいるなら一度は訪れたい場所です(鉄道でなくても行けますが)。冬季は天神平スキー場になるので、訪れた方も多いでしょう。
しかし、土合駅の下りホームは深いトンネル(新清水トンネル)の中にあります。エレベータもエスカレータもなく、462段の階段を上らないと地上に出られないという、日本一のモグラ駅です。上りホームは地上駅舎に近接していますので、帰りはとても楽なのです。賢い人は、次の土樽(つちたる)駅まで行って引き返せばと思うでしょうが、列車の本数があまりに少ない上、もし歩いたら距離も半端なく遠い…だから便宜を図って、トンネル内に駅ホームと階段ができたのですね。
さて、階段の一番下のスタート地点に立つと、地上の明かりが遥か先にポツンと見えます。この場所は映画「クライマーズ・ハイ」の冒頭に登場したので印象に残っている人も多いかもしれません。傾斜は極端にきつくはないですが、手摺りに頼らずガンガン登っていかないと息切れしてしまいそうです。途中でところどころ、「あと○○段です」という励ましのメッセージが書かれています。

上越線のみどころ

上越線は、上州(群馬県)と越後(新潟県)を結ぶ線として作られました。冬季は豪雪地帯です。岩原(いわっぱら)スキー場前駅、越後湯沢駅、上越国際スキー場駅など、沿線でも駅からすぐの所にたくさんのスキー場があります。しかし土合駅は、スキーを担いで来るようなところではなさそうですね…大抵はバスなどでしょう。土合駅前にも路線バスは通っています。谷川岳ロープウェイまで行くバスの時間に合わせて階段を上るのはきついかもしれませんが。
ところで、毎年10月28日は「群馬県民の日」です。お得な各種フリー切符が発売されます。土合駅は群馬県の北端で含まれているので、上手に使うと安く行けます。

土合駅の隣りにある湯檜曽(ゆびそ)駅の下り線は、珍しいループ線です。土合駅から東京方面に帰るとき、ループ上から湯檜曽駅ホームが見えるかもしれませんので、眼下を目を凝らして眺めていましょう。

行き方

土合駅のある上越線は、高崎駅が起点ですが、列車は水上駅で始発乗り換えになります。水上駅から先に行く列車の本数は、おそろしく少ないです(朝は1時間に1本、昼間は2~4時間に1本)。平日も土日も本数は変わりません。鉄道利用目的が、通勤・通学や登山・スキーなどに限られそうで、朝早く行き夕方帰るというスタイルのダイヤになっているのだと思います。水上駅から土合駅まではわずか2駅ですが、待合時間が長いので結構時間がかかります。朝早く出発し、余裕をもってお出かけください。

門司港駅(JR鹿児島本線、平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線)

2011-03-20 06.16.22レトロモダンな街・門司港

門司港駅のみどころ

門司港(もじこう)駅は、JR九州・鹿児島本線の起点駅。北九州の玄関口です。関門鉄道トンネルが開通し、大動脈は門司駅の方に移って久しいかのように思われがちですが、現在も1時間に3本程度、本州の下関(唐戸)と門司港を結ぶ汽船、関門連絡船が発着しています。
門司港駅の特長はなんといっても、駅舎では初めてとなる国の重要文化財、ネオ・ルネッサンスの木造駅舎。大正3年の完成で、まるで皇族のために建てられたような豪華な造りです。トイレや切符売り場などの施設も、歴史的価値のあるもの。ぜひ時間をとって探索してみてください。
写真で見たことがある方も多いと思いますが、夜の駅舎はライトアップされて特に美しいです。ただし現在は、保存のための長期改修工事に入っています。
駅前は大正時代を思わせる、レトロで奇麗な街なみ。駅から門司港はすぐ目の前ですが、ランドマークとなる門司港ホテルも情緒たっぷりの景観。部屋の造りもまたレトロです。
そして、門司港駅から歩いてすぐのところにある、九州鉄道記念館。ここから平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線に接続します。

平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線のみどころ

平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線は、門司港駅からすぐの場所にある九州鉄道記念館から発着し、関門海峡めかり駅までを結ぶ観光トロッコ列車「潮風号」です。定期運行は春から秋までの土日祝ですが、行楽シーズン中は平日も運行します。屋根付きなので、雨でも大丈夫です。
路線としては比較的短いので、門司港駅周辺の施設でレンタサイクルを借りて、並走する道路から列車を眺めることもできます。そして、終点の関門海峡めかり駅は、関門海峡のすぐそば。関門橋(自動車専用道路)の眺望も見事ですが、徒歩と自転車用の関門海峡トンネル(関門トンネル人道)もあります。入口からエレベータで海底トンネルに入ることができます。徒歩は無料、自転車も通行料金20円とわずかですので、ぜひ海の県境を渡ってみてはいかがでしょうか?(トンネル内、自転車は押し歩きです)

行き方

門司港駅に鉄道で行くには、九州新幹線なら小倉駅で鹿児島本線に乗り換え、その後は門司港駅まで3駅、乗り換えなしで行けます。下関方面から汽船で行ったり、関門トンネル人道をくぐってところどころ歩いて、レトロ観光線で行くのも面白いかもしれません。ただし冬季は運休ですから、運転日には注意してください。