『時刻表2万キロ』の終着駅
間藤駅のみどころ
間藤(まとう)駅は栃木県日光市足尾町にあり、バスなどでちょっと足を伸ばせば日光駅に出られる立地です。この駅は、鉄道紀行を広めた名著、宮脇俊三著『時刻表2万キロ』の中で国鉄(現JR)完乗の旅路の終着駅として描かれました。JRに民営化され、当時は国鉄だった地方鉄道もかなり廃止された今では路線数は減ってしまいましたが、当時は圧倒的な路線数がありました。それを完乗したというのは余程、鉄道に愛着があったのでしょう。「鉄」の魅力を全国に伝えた偉人です。
間藤駅の先には、廃止された鉱山線が伸びており、「まだ旅は終わりではない…」と思わせる郷愁が漂います。待合室には、著書や著者について取り上げられた新聞の切り抜きがびっしりと貼られています。この名著で鉄道旅行が好きになった方も多いことでしょう。
駅は無人駅で、ホーム端にこじんまりとした展望台があり、そこから列車全景を撮影できます。
駅前はすぐ道路で、路線バスが走っています。ここからバスで日光へ出るもよし、逆に日光方面からわたらせ鐵道へ足を伸ばし、ゆっくり過ごすのも良いでしょう。ただし冬は、間藤駅はとても寒いです。日光付近では冬季閉鎖道路があるぐらいです。列車折り返しで来ても、引き返す間に凍えそうなので、冬場は防寒着を忘れずに。
わたらせ渓谷鐵道のみどころ
わたらせ渓谷鐵道は、足尾銅山の拠点でありまた、美しい渓谷に沿って走る鉄道です。有料駐車場もある大間々(おおまま)駅を拠点に、春から秋にかけて土日祝日はトロッコ列車が走っています(大間々~足尾)。トロッコ列車整理券は予約分と当日分があるので、買えなかった人は駅で並びましょう。普通車両もあるので乗れないことはありません。
大間々駅では列車向けに特製のお弁当が買えますが、団体さんなどが来るとすぐ無くなりますので、できれば予約が必要でしょう。乗車中、目を耳と舌を同時に楽しませてくれます。
わたらせ渓谷鐵道は、停まる駅すべてに魅力があるといって良いぐらい魅力が盛り沢山です。冬季は沿線駅ホームにイルミネーションが飾られ、普通列車でも楽しませてくれます。
水沼駅には直結の温泉センターがあり、列車の発車時間に合わせて入浴、のんびりしていられます。
神戸(ごうど)駅直結で、東武特急デラックス車両の列車レストラン「清流」があります。大間々で買いそびれたお弁当もここで召し上がれます。作り置きがないそうなので、予約していらしてください。神戸駅から路線バス10分乗る時間があれば、富弘美術館まで足を伸ばせます。身体不自由ながら口にくわえた絵筆で描かれた美しい作品やメッセージの数々に、必ずや心打たれるに違いありません。
通洞(つうどう)駅は足尾銅山観光の入り口。歩いてほどなく、構内トロッコに乗って見学コースに入れます。坑道見学や博物館などが意外に面白いので、時間にゆとりを持って来るといいですよ。
行き方
最寄りのJR桐生(きりゅう)駅から、大間々駅までは郊外の住宅街。大間々からがこの路線醍醐味の本領発揮です。間藤駅まで行って折り返すなら、二度路線を味わえます。1日フリー切符を使うと、水沼駅温泉センター、富弘美術館の割引もあってダブルでお得です。
日光方面から来る場合は、路線バスがあります。日光に行く時間が許すようでしたら、ぜひ泊るつもりで、わたらせ渓谷鐵道に所々途中下車して、まる1日かけていくことをお奨めします。