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鉄道旅行に行くようになったのは中学に入ってから、兄の勧めで学割で、国鉄のワイド/ミニ周遊券で。春休みや夏休みに1回どこかに行くだけでした。大きくなってからは民鉄も好きになり、わざわざ変わった場所を探して行くことが多くなりました。今でも18切符はたまに使います。

間藤駅(わたらせ渓谷鐵道)

2012-01-07 19.41.33『時刻表2万キロ』の終着駅

間藤駅のみどころ

間藤(まとう)駅は栃木県日光市足尾町にあり、バスなどでちょっと足を伸ばせば日光駅に出られる立地です。この駅は、鉄道紀行を広めた名著、宮脇俊三著『時刻表2万キロ』の中で国鉄(現JR)完乗の旅路の終着駅として描かれました。JRに民営化され、当時は国鉄だった地方鉄道もかなり廃止された今では路線数は減ってしまいましたが、当時は圧倒的な路線数がありました。それを完乗したというのは余程、鉄道に愛着があったのでしょう。「鉄」の魅力を全国に伝えた偉人です。
間藤駅の先には、廃止された鉱山線が伸びており、「まだ旅は終わりではない…」と思わせる郷愁が漂います。待合室には、著書や著者について取り上げられた新聞の切り抜きがびっしりと貼られています。この名著で鉄道旅行が好きになった方も多いことでしょう。
駅は無人駅で、ホーム端にこじんまりとした展望台があり、そこから列車全景を撮影できます。

駅前はすぐ道路で、路線バスが走っています。ここからバスで日光へ出るもよし、逆に日光方面からわたらせ鐵道へ足を伸ばし、ゆっくり過ごすのも良いでしょう。ただし冬は、間藤駅はとても寒いです。日光付近では冬季閉鎖道路があるぐらいです。列車折り返しで来ても、引き返す間に凍えそうなので、冬場は防寒着を忘れずに。

 わたらせ渓谷鐵道のみどころ

わたらせ渓谷鐵道は、足尾銅山の拠点でありまた、美しい渓谷に沿って走る鉄道です。有料駐車場もある大間々(おおまま)駅を拠点に、春から秋にかけて土日祝日はトロッコ列車が走っています(大間々~足尾)。トロッコ列車整理券は予約分と当日分があるので、買えなかった人は駅で並びましょう。普通車両もあるので乗れないことはありません。
大間々駅では列車向けに特製のお弁当が買えますが、団体さんなどが来るとすぐ無くなりますので、できれば予約が必要でしょう。乗車中、目を耳と舌を同時に楽しませてくれます。

わたらせ渓谷鐵道は、停まる駅すべてに魅力があるといって良いぐらい魅力が盛り沢山です。冬季は沿線駅ホームにイルミネーションが飾られ、普通列車でも楽しませてくれます。
水沼駅には直結の温泉センターがあり、列車の発車時間に合わせて入浴、のんびりしていられます。
神戸(ごうど)駅直結で、東武特急デラックス車両の列車レストラン「清流」があります。大間々で買いそびれたお弁当もここで召し上がれます。作り置きがないそうなので、予約していらしてください。神戸駅から路線バス10分乗る時間があれば、富弘美術館まで足を伸ばせます。身体不自由ながら口にくわえた絵筆で描かれた美しい作品やメッセージの数々に、必ずや心打たれるに違いありません。
通洞(つうどう)駅は足尾銅山観光の入り口。歩いてほどなく、構内トロッコに乗って見学コースに入れます。坑道見学や博物館などが意外に面白いので、時間にゆとりを持って来るといいですよ。

行き方

最寄りのJR桐生(きりゅう)駅から、大間々駅までは郊外の住宅街。大間々からがこの路線醍醐味の本領発揮です。間藤駅まで行って折り返すなら、二度路線を味わえます。1日フリー切符を使うと、水沼駅温泉センター、富弘美術館の割引もあってダブルでお得です。
日光方面から来る場合は、路線バスがあります。日光に行く時間が許すようでしたら、ぜひ泊るつもりで、わたらせ渓谷鐵道に所々途中下車して、まる1日かけていくことをお奨めします。

土合駅(JR上越線)

一度は登ってみたい階段

土合駅のみどころ

土合(どあい)駅は、JR東日本・上越線の駅。群馬県利根郡みなかみ町という、山間部にあります。ここは谷川岳ロープウェイの拠点で、春・夏・秋のロープウェイ頂上の景色は筆舌に尽くしがたいほど素晴らしく、日本に住んでいるなら一度は訪れたい場所です(鉄道でなくても行けますが)。冬季は天神平スキー場になるので、訪れた方も多いでしょう。
しかし、土合駅の下りホームは深いトンネル(新清水トンネル)の中にあります。エレベータもエスカレータもなく、462段の階段を上らないと地上に出られないという、日本一のモグラ駅です。上りホームは地上駅舎に近接していますので、帰りはとても楽なのです。賢い人は、次の土樽(つちたる)駅まで行って引き返せばと思うでしょうが、列車の本数があまりに少ない上、もし歩いたら距離も半端なく遠い…だから便宜を図って、トンネル内に駅ホームと階段ができたのですね。
さて、階段の一番下のスタート地点に立つと、地上の明かりが遥か先にポツンと見えます。この場所は映画「クライマーズ・ハイ」の冒頭に登場したので印象に残っている人も多いかもしれません。傾斜は極端にきつくはないですが、手摺りに頼らずガンガン登っていかないと息切れしてしまいそうです。途中でところどころ、「あと○○段です」という励ましのメッセージが書かれています。

上越線のみどころ

上越線は、上州(群馬県)と越後(新潟県)を結ぶ線として作られました。冬季は豪雪地帯です。岩原(いわっぱら)スキー場前駅、越後湯沢駅、上越国際スキー場駅など、沿線でも駅からすぐの所にたくさんのスキー場があります。しかし土合駅は、スキーを担いで来るようなところではなさそうですね…大抵はバスなどでしょう。土合駅前にも路線バスは通っています。谷川岳ロープウェイまで行くバスの時間に合わせて階段を上るのはきついかもしれませんが。
ところで、毎年10月28日は「群馬県民の日」です。お得な各種フリー切符が発売されます。土合駅は群馬県の北端で含まれているので、上手に使うと安く行けます。

土合駅の隣りにある湯檜曽(ゆびそ)駅の下り線は、珍しいループ線です。土合駅から東京方面に帰るとき、ループ上から湯檜曽駅ホームが見えるかもしれませんので、眼下を目を凝らして眺めていましょう。

行き方

土合駅のある上越線は、高崎駅が起点ですが、列車は水上駅で始発乗り換えになります。水上駅から先に行く列車の本数は、おそろしく少ないです(朝は1時間に1本、昼間は2~4時間に1本)。平日も土日も本数は変わりません。鉄道利用目的が、通勤・通学や登山・スキーなどに限られそうで、朝早く行き夕方帰るというスタイルのダイヤになっているのだと思います。水上駅から土合駅まではわずか2駅ですが、待合時間が長いので結構時間がかかります。朝早く出発し、余裕をもってお出かけください。

門司港駅(JR鹿児島本線、平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線)

2011-03-20 06.16.22レトロモダンな街・門司港

門司港駅のみどころ

門司港(もじこう)駅は、JR九州・鹿児島本線の起点駅。北九州の玄関口です。関門鉄道トンネルが開通し、大動脈は門司駅の方に移って久しいかのように思われがちですが、現在も1時間に3本程度、本州の下関(唐戸)と門司港を結ぶ汽船、関門連絡船が発着しています。
門司港駅の特長はなんといっても、駅舎では初めてとなる国の重要文化財、ネオ・ルネッサンスの木造駅舎。大正3年の完成で、まるで皇族のために建てられたような豪華な造りです。トイレや切符売り場などの施設も、歴史的価値のあるもの。ぜひ時間をとって探索してみてください。
写真で見たことがある方も多いと思いますが、夜の駅舎はライトアップされて特に美しいです。ただし現在は、保存のための長期改修工事に入っています。
駅前は大正時代を思わせる、レトロで奇麗な街なみ。駅から門司港はすぐ目の前ですが、ランドマークとなる門司港ホテルも情緒たっぷりの景観。部屋の造りもまたレトロです。
そして、門司港駅から歩いてすぐのところにある、九州鉄道記念館。ここから平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線に接続します。

平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線のみどころ

平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線は、門司港駅からすぐの場所にある九州鉄道記念館から発着し、関門海峡めかり駅までを結ぶ観光トロッコ列車「潮風号」です。定期運行は春から秋までの土日祝ですが、行楽シーズン中は平日も運行します。屋根付きなので、雨でも大丈夫です。
路線としては比較的短いので、門司港駅周辺の施設でレンタサイクルを借りて、並走する道路から列車を眺めることもできます。そして、終点の関門海峡めかり駅は、関門海峡のすぐそば。関門橋(自動車専用道路)の眺望も見事ですが、徒歩と自転車用の関門海峡トンネル(関門トンネル人道)もあります。入口からエレベータで海底トンネルに入ることができます。徒歩は無料、自転車も通行料金20円とわずかですので、ぜひ海の県境を渡ってみてはいかがでしょうか?(トンネル内、自転車は押し歩きです)

行き方

門司港駅に鉄道で行くには、九州新幹線なら小倉駅で鹿児島本線に乗り換え、その後は門司港駅まで3駅、乗り換えなしで行けます。下関方面から汽船で行ったり、関門トンネル人道をくぐってところどころ歩いて、レトロ観光線で行くのも面白いかもしれません。ただし冬季は運休ですから、運転日には注意してください。

大畑駅(JR肥薩線)

2011-11-19 07.19.36日本三大車窓・九州編

大畑駅のみどころ

大畑(おこば)駅はJR九州・肥薩(ひさつ)線の駅。熊本県人吉(ひとよし)市にあります。日本で唯一、ループ線とスイッチバックを併せ持つ駅として、鉄道マニアによく知られています。アニメ化もされた鉄道マンガ「鉄子の旅」でも紹介(ネタに)され、登場する月刊IKKI編集長が狂喜乱舞していましたが、それほど印象的なのかと思い、私もいつか訪れてみたいと思っていました。
一度目は早朝に車で立ち寄ってみたのですが、本当に山の奥深くにある細い生活道路を、レンタカーのカーナビ頼りにどうにか辿りつきました。行き止まりで細長い駅構内、それと並行した未舗装道路があるだけで、ずっと車を停めておけるスペースはありません。他に誰か来たらどうしようと思いましたが、すれ違う位はできそうです。車を停めるという意味では、路線の先にある真幸(まさき)駅の方が駅前スペースがあって便利です。
大畑駅の木造駅舎はとても風情があり、落ち着いたたたずまいです。駅舎内の壁に絵馬のごとく名刺がびっしり貼られていますが、「名刺を貼ると出世する」といういわれがあるとか。知っていたら名刺貼ってくればよかった…。
この駅は開業時、SL(蒸気機関車)の給水所として設けられました。今も駅構内にレンガ造りの給水塔が残っています。

肥薩線のみどころ

肥薩線はループ線とスイッチバックの名所です!ループ線とは、自動車道路でもたまにお目にかかりますが、螺旋(らせん)状になった路線のことです。
鉄道は自動車ほど軽くはないので、相当に馬力がある機関車でも、あまりに急こう配では登れません。そのため、線路自体をなるべく傾斜がきつくならないように、山の周囲に沿ってぐるぐる大回りして距離を稼いで、ゆっくり時間をかけて山を登っていきます。
大畑駅から隣りの矢岳(やたけ)駅方面に行くとき、列車はzの字を描くようにジグザグに山を登っていきます。これがスイッチバックで、v字ではなくz字のように二度ターンします。どれだけ急こう配かは行ってみてのお楽しみ。
列車は、大畑駅の行き止まりから少し傾斜を登りながら進んで、山間部行き止まりで一時停車します。この近辺景色の案内看板が線路にそって立ち、停車中は案内放送もあったりしてとても親切です。そこからまた進行方向を変えて反対側に進むと、ほどなく大畑駅が眼下に見えます。ここから先は日本三大車窓の一つに数えられています。素晴らしい眺望で山を登りつつ、眼下に広大な陸地が見下ろせる景色。そして列車は、山間部のループ部分へと入っていきます。スイッチバックとループを組み合わせた形状はカタツムリみたいで、地図で見ると面白いです。その先の先に、真幸(まさき)駅というスイッチバック駅があり、見どころが続きます。

行き方

肥薩線の人吉(ひとよし)駅~吉松(よしまつ)駅区間には、「観光列車いさぶろう・しんぺい号」が走っており、山間部の一番美味しい部分を堪能できます。JR九州の「おもてなし」木製インテリア、展望窓、木造の趣あるテーブル席で、車内販売や観光のための車内放送もあり、一度は乗ってみたい列車の一つ。時間があるなら、ぜひ乗ってみてください。
「いさぶろう号」が人吉(北のほう)→吉松(南のほう)、「しんぺい号」が吉松(北のほう)→人吉(南のほう)へ向かう列車です。 吉松から乗るときは、吉松→真幸(まさき)→矢岳(やたけ)→大畑(おこば)→人吉、と、山を下りていく恰好になります。テーブル指定席がほとんどのため、駅で指定券を買う必要がありますが、形式上わずかに自由席もあり、満席で乗れないということはありません。乗車時間は1時間ちょっとです。スイッチバックを眺めるときに、もし山側の席にいたら、席を立ってでも眼下を見に行く価値があるでしょう。
特急「はやとの風」を乗り継げば、九州新幹線に接続する鹿児島中央駅から、肥薩線の主要駅で「しんぺい号」の起点・吉松駅まで1時間半ほどで着きます。

日本の鉄道駅と路線紹介

railmap.info へようこそ!

このサイトでは、一度は訪れてみたい鉄道駅の紹介をしていきたいと思います。自分が実際に行ってきたところばかりです。

どんな紹介をするの?

  1. 駅のみどころ
    駅舎デザインなど、行ってみたらわかる!けど、事前に知っておきたい特長
  2. 路線のみどころ
    眺望や名所など、自分が行ってみたおすすめスポット
  3. 行き方
    最寄り主要路線や主要駅からの行き方

なぜ紹介するの?

日本には”観光資源”ともいうべき鉄道が、全国を網羅しています。「鉄」と呼ばれるマニアでなくても、名所と呼べそうなスポットがたくさんあります。日帰りで2千円もあればたっぷり一周して帰って、夏なら冷房の効いた車内でのんびり過ごす…なんてこともできるし、普段気にしたことのなかった地域のお土産(キーホルダーとか、お菓子とか…)に気付いたりもします。鉄道が走っている地域は、駅を中心に商店街が出来たり、スポーツ施設や集客施設などが建てられたりして活性化しています。鉄道ほど気軽に、比較的安く、新しい発見をもたらしてくれる設備はないかもしれません。
地域沿線に住んでいる方にそれほどありがたみは気付きにくいかもしれませんが、鉄道は外国からの観光客の方々にとっても安全、時間に正確で、場所がはっきりしていて利用しやすい施設です。路線図を見て、行きたい駅までの数字(料金)のボタンを押して切符を買えば、その目的地まで快適に、確実に行くことができます。車のように渋滞もありませんし、混雑時バスのように満席で乗れなくなることもありません。指定席でなければ、予約も不要です。乗ってしまってからどこへ行こうか考えても、どこかで途中下車するのも自由です。このような便利な乗り物を、もっと活用しない手はないでしょう。
しかし、いざ鉄道でどこかへ行こう!と思っても、特に行きたいところがなかったら、魅力を感じにくくなってしまいます。鉄道のどこがそんなに良いんだろう、と思われないように、一度は行ってみたい駅、そして路線!を紹介してみたいと思います。時間があればまた行ってみたい、自分はこの路線のここが好き!という過ごし方を感じてもらえればと思います。